Case1 環境科学研究室クリーンルーム

Q:ここではどんなことをしていますか?
A:室内における有害生物に関わる研究を行っています。
エフシージー総合研究所では、室内における、微生物、有害生物に関わること全般の調査研究、一般の方への啓発、企業の商品開発のお手伝いを行っています。
私はもともと応用昆虫学を専攻していました。蚕の病原体の研究が専門です。そんなわけで、大学のころから虫と微生物の両方の研究を手掛けてきました。一番興味があるのは、チャタテムシなど、小さな虫とカビとの関係です。実際の仕事では、室内環境におけるカビの問題や、ダニなどの基礎研究から、抗菌や虫が寄り付かない網戸の研究など、商品に関わる応用的なことまで、細菌やバクテリアも含めて幅広く担当しています。そのほか、文化財保護のためのカビ対策も監修しています。
特に夏場になると、テレビや雑誌、その他、メーカーからの依頼など、ダニ対策やカビ対策、食中毒対策の監修をする機会が非常に増えます。このように、我々の研究は、人々の生活環境の向上にともなって、メーカー、マスコミのみならず、一般消費者からもますます注目を浴びるようになりました。
Q:どうしてアメニティ・テクノロジーに依頼を?
A:絶対に漏れてはいけない、お台場のオフィスビルという環境でした。
環境科学研究室のクリーンルームが完成したのは、2012年のことです。アメニティ・テクノロジーの永安社長のことは、クリーンルームの専門家としてよく知っていました。
隣はダイバーシティの商業施設、このビル自体はオフィスビルです。オフィスビルの中の6階に、こんなバイオセーフティレベルP2の有害微生物を飼育する本格的な実験施設をつくるなんて、まず誰も考えないと思います。ルーム内は、常に陰圧に保つことは当然です。絶対に外に漏れてはいけないのですから。しかもオフィス用に造られた間取りですから、さまざまな制約があります。その中でダクトを配置していくことは至難の業だと思います。さらに、オフィスビルですから、BSL2の要件を満たしながら、消防署の求める調整もしなくてはなりません。扉のロックを確実にすることは、BSL2上は必要ですが、消防上、防火扉としてはよろしくない。まさに、二律背反する問題を解決しなくてはなりませんでした。
そして、メーカーさんやテレビ局、雑誌社などからの委託研究をさせていただいている以上、「ここで実験をしています」と堂々と言えないといけなせん。オフィスビルの中にカビや微生物を使って実験をしている施設があるからといって、隠すわけにはいかないのです。そのためには、何があっても洩れない万全の対策を施し、「絶対に漏れません」と自信を持って言えるものをつくらなければなりませんでした。こんな立地の施設にBSL2のクリーンルームをつくることができる人は、私が知る限り、アメニティ・テクノロジーの永安さんしかいないと思います。一般的なクリーンルームとして見たとしても、こんなに厳しい立地条件は、日本にほとんどないと思います。
Q:なぜフジサンケイグループがカビや微生物の研究をするのですか?
A:自ら検証し、消費者目線の情報発信をするためです。
『ESSE』というフジサンケイグループの扶桑社が発行している、主婦向けの生活情報誌がありますね。前身は『リビングブック』という名前だったのですが、1981年の創刊当時、「お仕着せではなく、もっと消費者目線の雑誌ができないものだろうか、そのためには自ら検証する必要がある」という創刊者の強い思いがあり、雑誌に掲載するための実験をするためにフジテレビ商品研究所ができました。当時は、リビングマガジン研究所という名称でした。その後、産経新聞のシンクタンクが合併して、1985年にフジサンケイグループの総合研究所として、株式会社FCC総合研究所ができました。「自ら研究して、正しい情報を広く公開しよう」という取り組みは、ほかのマスコミにはあまり見られないスタンスだと思います。そして、そうすることは、メーカーさんとのお付き合いの中で、最終的には、「消費者にとっていいものをつくりましょう、そうした方が、お互いに利益になる」というWin-Winの信頼関係を構築することにつながります。消費者にとっていいものをつくるお手伝いをする」ということが、FCC総合研究所の大きな事業の目的です。
実は、フジテレビ以外の放送局の一般向けサイエンス番組の制作などにも多数関わっているんですよ。たとえば、「消毒エタノールがカビ対策に有効」ということを世に広めたのは私です。
「生活科学」という分野は、大学だと家政科などがそれにあたるのですが、研究レベルにまで深く掘り下げているところが少ないんです。永安社長も入られている「室内環境学会」と学会がありますが、研究者が少ないので、みんなお互いのことをよく知っているぐらいに。
大学の家政科は実践が優先されるので、当然と言えば当然なのですが。逆に言えば、宝の山なんです。わかっているようでわかっていない面白いことがまだまだたくさんあります。
微生物の話に戻りますが、一般の住宅には、カビや有害微生物は必ずいます。そういった意味では、研究室だけではなく、家庭の現場で実験を繰り返すことも大切です。しばしば私の自宅もその実験台になるんですよ。
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美容科学研究室はどんなことをしていますか?
ファンデーション、口紅など、美容に関わる商品の効果検証を行っています。月刊誌の依頼を受けて、毎月、決められた商品の検証実験も10年以上続けています。たとえば、卵の殻やスダチなど、自然にあるものと比較して、商品の効果や特徴はどうなのか。そういったことをわかりやすく表現することに努めています。消費者から見れば、全体的な良し悪しよりも、「自分に合うのか」が一番大切です。特に化粧品は、人によって合う商品が大きく異なります。「こういうタイプの人はこれがいいですよ」といいうように、使う人の目線で実験を繰り返し、消費者目線での情報提供をすることは非常に社会的意義が大きいことだと自負しています。現在、年間200社ぐらいの検証実験を請け負っています。

最新の差圧計を設置して、どんなことがあっても陰圧を保てるようにしています。このように10種類ぐらいの条件をすべて完璧にクリアすることが求められました。
お台場の真中、隣は商業施設というオフィスビルにこの施設は立地しています。


 
Photo-1
陰圧のバイオクリーンルーム。(BSL-2相当)菌が絶対に外に漏れず、なおかつ中はクリーンな環境を保っています。・・図面に戻る
Photo-2
HEPAフィルターがついた差圧ダンパー。クリーンルームに導入される空気も除塵・除菌されています。・・図面に戻る
Photo-3
機械室に設置されたデシカント乾燥機。オフィスビルでレシプロの冷凍機を使用することは不可能なので、デシカント乾燥機を採用。低湿度雰囲気を確実に実現しています。・・図面に戻る
Photo-4
制御盤。安全キャビネットが空気を外に吐き出す時に差圧バランスが崩れないよう、常に一定の室圧(20Pa~300Pa)になるように自動制御を行っています。・・図面に戻る
Photo-5
カビトロン空調機。結露を極限まで抑える温度設定を実現しています。カビを強力に抑制しています。・・図面に戻る
Photo-6
裏に回ると、ものすごいダクト。限られた空間に収めるため、緻密な計算のもとに設計されています。・・図面に戻る
Photo-7
部屋ごとに手元操作盤を用意、運転条件の設定、警報の確認が可能です。・・図面に戻る

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